董大との別れ・二首
唐代・高適
唐代・高適
千里黄云白日曛,北风吹雁雪纷纷。(千里に黄雲が広がり、白い太陽も薄暗い。北風が雁を吹き送り、雪がしきりに降る。)
莫愁前路无知己,天下谁人不识君。(この先に理解者がいないと案ずるな。天下にあなたを知らぬ者がいようか。)
六翮飘飖私自怜,一离京洛十余年。(翼を風に漂わせ、ひそかにわが身を哀れむ。都の長安・洛陽を離れて、もう十余年になる。)
丈夫贫贱应未足,今日相逢无酒钱。(男子たる者、貧しく低い身分のままで満足すべきではない。だが今日、こうして会っても酒代さえない。)
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其の一:広い天地は黄ばんだ雲に覆われ、太陽も薄暗く見える。北風が雁の群れを送り、雪がしきりに舞い落ちる。この先に自分を理解する友がいないと心配することはない。天下にあなたの才名を知らぬ人がいるだろうか。
第二首:羽ばたきながらさすらう鳥のように、私もわが身を悲しく思う。長安や洛陽を離れて、もう十数年になる。男子たるもの、貧しく身分が低くても志を失ってはならない。だが今日、君と出会っても、酒を用意する金さえないのだ。
董大:一般に、名高い琴師の董庭蘭と考えられる。「大」は兄弟間の排行。曛(xūn):日の光が薄暗いこと。知己:自分を理解し、評価してくれる人。
六翮(hé):鳥の翼の主要な羽の軸。ここでは飛ぶ鳥を指し、放浪のたとえに用いる。京洛:長安と洛陽。また、広く都を指す。
未足:それによって自分を嘆き、落胆するには及ばないという意味であり、貧しさがまだ足りないという意味ではない。二首は一方が雄健、もう一方が自らを嘆く調子であり、合わせて読むとよい。
作品案内:高適は董大との別れに際し、七言絶句を二首残した。本ページには、一般に広く愛唱される励ましの一首と、自らの貧しさを記す第二首をともに収める。後者が、前者の豪壮さに、より具体的な人生の背景を与えている。
第一首の前半では風雪が迫るが、後半は一転して明るくなる。友の才能への信頼が力強い励ましを支え、厳寒の背景がかえって言葉の温かさを強めている。
第二首は、流浪の身で酒代もない苦境を認め、友情を憂いのないものとして描いてはいない。二首を合わせて読むと、豪放さとは万事が順調なことではなく、苦境にあっても友に力を与えようと努める姿なのだと分かる。
詩から、物語の中へ
大雪で道が閉ざされるなか、琴師の燕川は弦の欠けた琴を質屋から背負い出した。懐には餅半分を買う金さえない。今では楽正となった旧友の陸召は、命を懸けて身元を保証し、冬の宴への再登場を推薦しようという。だが推薦状には、一つ条件が記されていた。名を上げた昔の曲だけを弾き、もう一つの名には一切触れてはならない、と。室内の炉は暖かく、廊下では子どもがまだその曲の拍子を習っていた。
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