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紫菊气,飘庭户,晚烟笼细雨。(紫の菊の香りが庭や戸口へ漂い、夕もやが細雨を包む。)

謝新恩・ゆるやかに移ろう秋の光は引き留められない

五代・李煜

ゆるやかに過ぎる秋の光は引き留められず、夕暮れ、階段いっぱいに紅葉が散る。

又是过重阳,台榭登临处,茱萸香坠。(また重陽が過ぎ、登って眺めた楼台のあたりには、茱萸が香りを残して散っている。)

紫菊气,飘庭户,晚烟笼细雨。(紫の菊の香りが、庭や戸口を漂い、夕もやが細雨を包む。)

雍雍新雁咽寒声,愁恨年年长相似。(渡ってきたばかりの雁が、冷たい声を詰まらせて鳴く。憂いと恨みは年ごとに、いつも変わらぬ姿をしている。)

詩情を流れにのせて

詩の情景アニメーション

アニメーションの内容は中国語の原版を保持しています。

アニメーションの準備ができました。

AI画像生成

現代語訳

ゆるやかに流れゆく秋の光は引き留められず、夕暮れには紅葉が階段を埋める。重陽もまた過ぎ、かつて登った楼台には、茱萸の香りも次第に消えてゆく。紫の菊の香りが庭に流れ込み、夕もやが細雨を包む。渡ってきたばかりの雁の群れが、低くむせぶような寒々とした声を響かせ、年ごとに変わらぬ愁いと恨みが、この一面の秋景色とともにまた生まれる。

注釈

冉冉:ゆっくりと移りゆくさま。重陽:旧暦九月九日。高所に登る、茱萸を身につけるなどの習慣がある。榭:水辺や台の上に建てられた建物。

茱萸:芳香のある植物で、重陽の節句に用いるもの。香坠:香りが消えること。雍雍:鳥の調和した鳴き声。ここでは「咽寒声」(寒々とむせぶ声)とともに雁の鳴き声を描く。长:いつも、しばしば。

この詞は、伝わる本文の字句や句切りに異同がある。このページでは掲載本文に沿って読む。具体的な制作年や場面は、無理に確定しない。

作品紹介

作品案内:李煜は重陽の前後の秋景色によって憂いを描く。階段、庭と戸口、楼閣はいずれも身近な空間であり、紅葉、菊の香り、細雨、雁の声が順にそこへ入り込む。季節は巡るのに、心の悩みは解けがたいという関係が示されている。

鑑賞解説

初句で早くも「留不住」、すなわち引き留められないと言い、その後に現れる秋の事物は、どれもこの言葉を裏付けるようだ。落ち葉は目に見え、菊の香りは鼻に届き、薄い雨と雁の声がさらに寒さを添える。感覚の層が次々と深まってゆく。

「又是」(またしても)と「年年」(年ごとに)が前後で呼応する。季節は繰り返し巡ってくるが、愁いや恨みを新たなものに変えることも消すこともできない。結びの「相似」(似ている)は一見平凡だが、慣れ親しんでしまった、絶えず続く痛みをまさに表している。

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