古代中国風の手仕事と世情を描く長編
花の時季が過ぎて
酷無極 · AI創作 · 4884 字 · 約 13 分
荷蔵が開く日、梅の木には東側の枝に花が数輪残るだけだった。ほかの花は一斉に散ったわけではない。まだかすかな白を残す花もあったが、光が透けるほど薄く、少し強い風が吹けば離れてしまう。顧青は早朝に落ちた花を集め、すぐ人に届けず、まず敷居の外に乾いた布を広げて、濡れた花を少し乾かした。塀の向こうで聞家が新しい看板を掲げた。布が鮮やかで、木に残る淡い色はかえってそのにぎやかさに覆われたように見えた。
聞継昌が見に来てほしいと人を招いたのは、新しい門や倉の区画、荷車が滞りなく出入りできるかどうかで、梅の花を看板に掲げたわけではなかった。それでも客の中には、木を残したと聞いて、中庭まで足を運びたがる人が必ずいた。許檀が案内し、荷のそばまで来ると、新しい袋の口に引っ掛けて開けてしまわないよう、袖を引き寄せてくれと言った。顧青は自分の家の戸の隙間から眺め、人が見に来る木と、自分が毎日水をやる木とは、まるきり同じものではない気がした。
ある客は見終わると、花が少ない、廊下に盛りの椿を一鉢置いたほうがいいと言った。聞継昌はうなずき、中庭は空けておくべきところを空ければいい、花見をこの木一本に頼ることもないと言った。塀越しに聞いた顧青は、最初こそ少しむっとしたが、そのうちほっとした。もし彼が、木を残せば毎日客を呼べるとでも語ったら、自分まで花の時期のことで、がっかりした人一人ひとりに詫びることになりかねなかった。
年明けの東市は年越し前より品の入りが遅く、顧青は残った包み紙をいくつかの籠に分け、日に当ててから棚に上げようと思った。部屋には新しく引っ込めた卓が場所を取っていて、置き場が足りない。そこでいちばん外の籠をひとまず井戸端の木の台の下に置き、明朝出すことにした。溝の口までは掌半分ほど空いているのを確かめた。壁に寄せて薪を積んだわけでもなく、紙が泥に直接触れてもいないと、自分で自分に先に許しを出した。
荷倉が開く三日前、十三日の夜に雨が降りだした。激しくはなかったが、朝もまだ降っていた。籠を見にいくと木台の外縁が泥はねだらけだったので、籠をさらに奥へ押し、手前を古板で覆った。部屋から沈素が少しかすれた声で湯を持ってきてと呼び、彼女はもうしゃがんで溝を見なかった。朝飯の支度が済むころには、聞家の最初の米の荷車が着いていた。車輪が南門を通り、麻袋の角から落ちた藁くずを含む泥水が、低くし直した敷居に沿ってゆっくり路地へ流れ込んだ。
顧青は窓辺で花びらを巻いていた。陳嬸の声を聞き、初めはまた荷車に道を譲るのかと思った。手の花びらを置き、戸を押し開けて出ると、陳嬸が木のひしゃくで水を外に汲み出していた。水は両家の塀の根元でせり上がり、井戸の縁には達していないものの、乾いた煉瓦の目地に沿って浅く広がっていた。顧青が手を入れてみると、冷たさに指が縮こまった。真っ先に口にしたのは、聞家の新しい門が雨水をみんなこちらへ流したのではないか、ということだった。
陳婶は、どこの家のせいかはあとにして、まず水を汲み入れるものを探しな、と言った。顧青は家に戻って桶を取りながら、自分の言うことはもっともだという気がますますした。前はこんなに濡れなかった。門を直し、新しく地面を突き固めたら、水の通り道が変わるのは当然だ。桶を置くころには聞継昌も来ていた。裾には泥がつき、聞家の庭では麻袋の一つが下に物を敷いて持ち上げられていた。彼も家の中で悠々と、ほかの人が濡れるのを待っていたわけではなかった。
二人はほとんど同時に相手の方を指さした。聞継昌は、溝が通っているなら敷居の外のこれしきの水がここにたまるはずがないと言い、顧青は、壁を直すときに灰や屑を落とさなかったかなんて誰に分かるのかと言った。彼はたちまち顔を曇らせ、今積んだばかりの壁も崩して調べろと言うのかと聞いた。口に出した手前、彼女はすぐには引き下がれず、溝を残すと約束したのだから、紙の上に線を一本残しただけでは済まないとまで言った。
許檀が細い木の棒を持ってやってきたが、その言葉には応じなかった。浅い溝に棒を差し入れ、何かに当たると止めて、顧青にまず井戸端の古板を持ち上げるよう言った。持ち上げると、籠の底にあった濡れ紙が一枚、板に貼りつき、また水に沈んだ。顧青はそれを見て、まず胸が詰まったが、すぐ、外側にあって水をかぶった一枚にすぎない、本当に詰まっている箇所はもっと奥のはずだ、さもなければこんなに水がたまるものかと思った。
さらい出したものは、やはり紙だけではなかった。新旧の灰や燃えかす、枯れ葉、荷車から落ちた草、少しばかりの古い黒泥が混じり合い、濡れてしまえば、ひとつまみしてどの家の分がどれほどか言い当てられる者はいなかった。何逢秋が残しておいた溝掃除用の小さな口が役に立った。許檀は木の棒を聞継昌に渡し、陳おばさんは桶を提げて中身を捨てに行き、顧青は井戸の脇にしゃがんで、口に浮かぶ屑をひとつかみずつかき分けた。
水は少しずつ外へ流れ出し、ほどなく煉瓦が半分ほど顔を出した。顧青の袖口はすでにずぶ濡れで、膝は冷たい地面にくっついていた。向こうで聞継昌が、まずはここまで通して、奥は雨がやんでからよく見ようと言うのが聞こえた。あの紙切れがどこの籠から落ちたか、彼は蒸し返さなかったので、彼女も自分からは言わなかった。ただ、たらいを片付けるとき、自分の紙籠を丸ごと抱えて家へ入れた。濡れた底が敷居に濃い筋を引いた。掌半分離したくらいで防げたことには、とても見えなかった。
沈素は乾いたズボンを探してやりながら、膝の泥に触れ、さっきは何をあんな大声で叫んでいたのかと聞いた。顧青が井戸に水が入るのが怖かったと言うと、祖母は井戸の縁は高いし、まだそこまで水は来ていない、心配だからといって、ひと言でよその仕事を何もかも悪く言うことはないと答えた。顧青は心配したのにはわけがあると言い返しかけたが、衣類の山をゆっくり探る祖母の手を見て、結局は濡れたズボンを受け取り、明日、自分でもう一度中をさらっておくと言った。
翌日、雨がやむと彼女は本当に見に行った。溝口の表面はきれいになり、木切れを差しても先へ進んだので、明日やるはずのことを、本当に暇になってからへ変えた。ともかく目の前の水は流れ去っていた。紙籠は室内に残り、材料台はさらに窮屈になった。座る時はいつも先に膝の向きを変えねばならなかった。小満は入ってそれを見ると、上着を自分の膝へ移し、部屋になぜ新しい湿気の匂いがするのかはもう尋ねなかった。
荷蔵が開いて数日、さまざまな人が出入りし、正月よりも忙しかった。顧青は聞家とはもう親しい隣同士だと思っていたのに、今では門のそばに立っていると、店員からよく一歩よけてくれと頼まれた。荷が通るのであって、わざと軽く扱われているわけではないと分かっていても、よけてと言われると、西市の客がまずどこの店の者かと聞いたことを思い出した。空の籠を抱えて庭に戻ると、本当に自分のものといえる商いが欲しいという気持ちが、前よりも切実になっていた。
姚蓼が一度訪ねてきた。聞家の女性たちに髪飾りの花を二つ届けがてら、顧青の新しい青の見本を見に来たのだ。梅の下には立ち止まらず、まず靴の泥をきれいにこそげてから家に入った。小満がちょうど従来の型に合わない巻き花びらを一枚作っていた。姚蓼はそれを手に取り、光にかざして半回転させ、こういう形なら暖色に替えれば、春花会の髪飾りとして売れるかもしれないと言った。顧青はすぐ、青い梅で使った形だから変えられる、ただ数によると言った。
姚蓼はその場では数を言わず、二月にも引き受ける気があるかと尋ねた。あるなら数日後に見本を持ってくるから、大きな注文だと聞いただけで引き受けないように、と。顧青は小満が手伝ってくれるから間に合うと答えた。卓の向こうで小満の糸を持つ手が一瞬止まった。すぐに反対もせず、一緒にうなずきもしなかった。ただ、いま作った一枚を自分の小さな紙包みに別に入れ、すでに話のついている普通の花びらを裁ち続けた。
小満が帰ってから、顧青は、新しい型を引き受けるなら見比べるためにあの巻き花びらを取っておかなければ、と気がついた。まだ折り上がっていない箱を手に追いかけ、路地の入口まで行くと、小満はすぐ染め場へ戻ったのではなく、帽子の縁飾りを売る小さな露店の前に立っていた。店主が柔らかい帽子を渡すと、小満は受け取り、まず脇についた整いすぎた花を押してゆるめた。それから袖から小さな紙包みを出し、角度を見ながらそこに当てた。
顧青の足がゆるんだ。あの青い一枚は、顧家の卓で見たときには型をしくじったあとの切れ端にしか見えなかった。いま濃い灰色の帽子の縁に置くと、思ってもみなかったきれいさがあった。小満が試しにかぶると、もとから緩めに結っていた髪が帽子の下に収まり、顔全体がすっきりした。笑うときも先に顧青の顔色をうかがう必要がない。店主が何か言い、小満が手を伸ばして帽子のつばをもう少し低く折ると、そばの女客も手を伸ばし、外に返った絹の縁に触れた。
顧青はふいに、あの花びらは結局誰の材料で作ったのか、歩み寄って聞きたくなった。手にした箱には指先でつまんだ跡がついた。足を踏み出しかけて止まり、試作で駄目にした分は自分持ちで、正式な数には入れないと小満が前から言っていたのを思い出した。問いただしたところで、もともと曖昧だったささいなことを、先に角の立つ話にしてしまうだけかもしれなかった。二歩離れたところに立ち、女客が帽子を反対側に傾けてかぶるのを見てから、小満に気づかれる前に、箱を抱いて路地へ引き返した。
机へ戻ると、彼女は水盆の中で眺めたあの青い花をもう一度取り、半回転させた。それでも帽子の縁の花のように軽やかにはならなかった。壊すほどほどいたりはせず、元の場所へ戻し、紙箱に自分でつけたへこみを指の腹でならした。その跡は結局すっかりは消えず、彼女は箱の底の向きを変え、戸口に向かないようにした。
その午後、祖母は針仕事の卓には戻らず、陳嬸と布を干しに出た。濡れた布を最後の水が出るまで絞って竿に掛けると、風が吹くたび、白い戸が何枚も路地で開いたり閉じたりするようだった。茶を持って出た顧青は、陳嬸が祖母に、本当に南へ行くなら足は歩き慣れそうかと聞くのを耳にした。沈素は、遠くまで歩けなければ船に乗れる、岸にも着かないうちから負けを認めることはない、と答えた。顧青は船賃もまだ貯まっていないと言いかけ、結局、茶を置いただけだった。
顧青は戻ると青い見本をもう一度並べ、春の花市に出せそうなものを選んだ。外に返った数輪はすべてが自分一人の手から生まれたわけではないのに、並べると新しい店先のように見えた。白紙を一枚下に敷き、「顧」と書いてみた。「青」を半分まで書いたところで、花に墨が垂れそうで、いったん筆を置いた。窓の外では祖母と陳おばさんがまだ笑っていた。干した布に遮られ、部屋に届くころにはかすかな声になっていた。
正月十八日の朝、木の手近なところに残っていた最後の梅の花が落ちた。ちょうど新しい塀の弧の内側で、顧家の庭には落ちなかった。沈素は塀越しにしばらく眺めたが、誰にも拾ってくれとは言わなかった。名残惜しいのかと思った顧青が向こうへ行くかと聞くと、祖母は首を振り、向こうの花は向こうに落ちたっていいのさ、と言った。そう言って古布を片づけた。中には先日までに落ちた花びらが乾いて小さな包みになっていた。もとは濃淡のあった色も、いまはどれも同じくらい薄くなっていた。
顧青は新しい壁に触れた。煉瓦の表にはまだ雨上がりの冷たさが少し残っていた。壁は木に弧を描いて場所を譲ったが、花を一日長く留めてはくれなかった。彼女はそこからまだ別のことを考えられず、ただ部屋へ戻って白い紙に「青」の字を書き足し、裏返して、姚蓼が大きい見本を持ってくるなら作業台のそばにあといくつ盆を置けるか数え始めた。
· この章 終 ·
本書はAIの支援による創作で、王安石《梅花》と当サイトの元の短編《春風は売らない》をもとに書き広げています。登場人物、商取引、地理、紀年はすべて架空で、詩人の伝記ではありません。木を守ること、絹の花に香りがないこと、祖母と孫が蓮を眺めることという、原作の中核となる選択は残しています。
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