酷無極文庫 詩詞から生まれた · オリジナル小説
詩詞の中の物語
一行の詩を、一つの物語として読む。
渡し場の灯、出されなかった手紙、そして名もない人々の身に降り注ぐ月の光。
お茶一杯の時間を自分に贈り、人の世を綴る一巻を開いてみましょう。
本棚を見て回る
118 作品が、静かに読まれるのを待っています
作品集
書架の蔵書 118
一冊を選び、物語がゆっくりと広がるのを楽しんでください。
故郷の井戸に月明かり
十二年間宿を守ってきた陳硯は、初めて同郷だと聞き、危うく宿代をまるごとただにするところだった。続いてもう二人がやって来て、やはり白井鎮の名を口にした。だがその町は、戦乱を逃れたあの年に焼けて更地になっていた。月明かりが客間を白く照らす中、三人は同じ故郷の井戸を語った。族譜を持っていると言う者もいれば、冬の日の一片の影しか覚えていない者もいた。
この本を開く幾重もの門に初めて晴れて
程綺は四方の帳をひと春ずっと下ろしたままにし、訪ねてくる者には一律に重病だと伝えさせた。昨年の宴で笑われた詩のこともまだ忘れられないのに、外では彼女の名を付した新作が出回り始め、しかも旧友の梁素を嘲っていた。書店の商いは日ごとに寂れていく。程綺は紙を広げて釈明し、「断非我作」(断じて私の作ではない)と書いたところで、ふと筆を止めた。
この本を開く物語と詩は、互いの源となる。詩の目録でインスピレーションを探す