古風な世情長篇小説
雪解け水が南の壁に染み込む
酷無極 · AI創作 · 4696 字 · 約 12 分
許慎が真っ先に見たのは壁ではなく、乾ききっていない一足の靴だった。寝台の足元の古い引き出しの脇に置いてあった。外には泥がついていないのに、中はつまんでも形がつかめないほど湿っていた。一昨日、母は川辺には行かなかったと言っていた。それを思い出し、靴を持ち上げて、どうしてまた濡れているのかと聞いた。阿穂は目を落としてちらりと見て、夜中に黄豆が我慢できなかったのかもね、と言った。
犬は自分の名を聞いて顔を上げ、また伏せた。許慎が犬の敷いている布に触ると、その向こうの壁まで冷たかった。寝台の縁を手前に引くと、阿穂はすぐ手を伸ばして止めようとしたが間に合わなかった。壁の下を覆っていた古布が滑り落ち、上から下まで伸びるひと筋の水の跡が現れた。母も息子も同時に黙った。まるで寝台の裏にはもともと、もっと日の光の下に出しにくいものが隠してあったかのようだった。
「いつからだい?」
「ここ二日だよ」と阿穂は言った。「前はこんなに多くなかった」
許慎は信じず、指で壁をなぞった。塗り土がひと撫でで落ちた。勢いよく立ち上がって腰掛けを倒すと、黄豆は驚いて寝台の下へ潜り、喉を低く鳴らした。腰掛けを起こすことも忘れ、知っていたのになぜ言わなかったのかと、まず母に聞いた。阿穂は倒れた腰掛けを見て、かえって腹が立った。戸を入るなり店が忙しい、材木も高いと言ったのは息子ではないか。どこもかしこも具合が悪いと言ったところで、腕がもう二本生えてくるとでもいうのか。
阿穂は思ったことをすべて口にせず、百年も住むわけじゃあるまいし、乾かせばいいだけだと言った。許慎はますます顔を曇らせた。仮住まいだからと母が言い張っている気がした。金を払うときには日当たりも敷居も聞き、かまどから寝台まで何歩か実際に歩いてみたのに、雪がどの瓦の縁から入り込むかだけは聞かなかった。母がこの水を隠したのは、彼でも金を出して選び損なうことがあると認めるのが怖いからのようで、なおさら何もなかったことにはしたくなかった。
方桂娘(ファン・グイニャン)が入ってきた。寝台が引き出されているのを見てまず眉をひそめ、どうしてこんなに散らかしたのかと言った。許慎は言い終わるのも待たず、湿った布切れをその手に押しつけた。壁に触れると彼女の口調はいくらか和らいだ。それでも、しばらく空き部屋だったのだから、人が住み始めた年には湿気が戻るものだ、水を見たからといって瓦がみな傷んだと思うことはない、と言った。阿穂はそれを聞いて、さっき自分が息子に言ったことが、大家から自分に向けられた言葉とまるで同じだと、ふと気づいた。
許慎は、水は高い所から落ちてきたもので、地面から上がったものではないと指し示した。方桂娘は上を見上げ、しばらくして梯子を取りに出たが、戸口で振り返り、年の瀬は瓦職人も忙しく、呼べば来てくれるとは限らないと言った。彼がどれくらい待てばいいのかと追いすがって聞くと、私は瓦職人じゃないんだから、どうしてわかるの、と答えた。二人の声が高くなり、中庭では米を搗く音さえしばらくやんだ。東の部屋で糸を切ったばかりの杜茵は、手を宙に浮かせたままだった。
阿穂は息子を引き戻そうとし、もういいよ、近所に聞こえると言った。許慎は腕を引き抜いた。その仕草で、子どものころ手が遅いと笑われたあの子が、やはりこんなふうに腕を引き抜き、一人で離れたところに立ったのを思い出した。あのころはかばってやった。今は、誰のそばに立てばいいのかさえ分からなかった。寝台が濡れたのは確かで、息子がただで住んでいるわけでないのも確かだ。それでも言い争いになると、町へ移って得たほんの少しのいい暮らしまで、人の笑いものになるようだった。
結局、先に梯子を上ったのは方桂娘だった。許慎が下で支え、桂娘が片手で軒樋を探ると、氷のついた腐葉の塊が出てきた。家の前でござを干したときに落ちた細い草が混じっていた。外へ引っ張ると水が反対側から落ち、危うく許慎の頭からかかるところだった。杜茵がたらいを持ってきて受けたが、受けているうちに腕がだるくなり、上ばかり見ていないで、まず片手を代わって、と言った。
樋の詰まりが原因のすべてではなかった。脇の瓦も二枚緩んでいた。方桂娘が手で直そうとすると、許慎は止めた。踏んで割れば余計に手がかかるから、瓦職人を待とうと言った。木仕事で高いところに立つことはできても、どの瓦がどれの下に入るかは分からない。母がいるからといって、今度は無理をしなかった。梯子をしっかり押さえて方桂娘が地面に下りるのを待ち、それから腐った葉の塊を拾って箕に入れた。
さしあたり、部屋の寝台のあたりでは眠れなかった。許慎は母を店に連れていこうとしたが、阿穂はすぐ首を振り、材木小屋に住むのか、それとも任親方にまたひと部屋空けてもらうのかと聞いた。彼が黙っていると、今度は寝台を戻そうとし、内側がもう少し乾けばそれでいいと言った。聞きかねた杜茵は壁の真ん中を指し、寝台を横向きにして、まず湿った壁から離したらいいと言った。通り道は狭くなるけれど、寝具を持って行ったり来たりするよりましだ、と。
そう言いながら、杜茵は自分から箱を動かしに行った。阿穂は東の部屋の戸の内側に新しい布が五枚あるのを見て、あの隅は乾いているから、自分の箱をひとまず置かせてほしいと急いで言った。杜茵は止めた。そこは客の布を干す場所で、これ以上物を置けない。庭じゅう物を動かしていっぱいになっているし、一箇所あいているからといって、誰も使わないわけではない。言い終えて自分でも口調がきつかったと思い、少し声を和らげて、寝台の脚に敷く乾いた布を阿穂に持ってきた。
今度、阿穂は彼女を気立てのよい娘だという物差しで見ることはしなかった。娘の手がける仕事はどれも待っている人がいる。布を一枚くれるからといって、部屋ごと明け渡せるわけではない。阿穂は箱の角を拭いて自分の寝台の下に押し込み、あの古箪笥を本当に山から下ろしてきていたら、今日は歩く隙間さえなかっただろうと思い出した。あのとき手放しがたかった気持ちは、目の前の濡れた場所と乾いた場所の間で、もとの重みを失っていた。
屋根職人が手を空けられたのは二十六日だった。間の二晩、母は寝台の部屋の中央寄りで寝た。許慎は最初の晩は泊まったが、二晩目は戸の材を火で乾かす番をしなければならず、泊まれなかった。去る前にほかに濡れた所はないかと三度も尋ねるので、阿穂はうるさくなり、寝台の下の犬の敷物を指して、今度濡れても、また全部あの子のせいにはできないよと言った。許慎はそこでようやく笑い、昨日の口論で蹴って傾けた腰掛けを直した。
瓦の修理は、一しきり音がすれば終わるものではなかった。瓦職人はまず、埃のかかりそうなものを家の者に移させた。方桂娘の米袋も動かさねばならなかった。彼女は竈の脇に一列に並ぶ袋を見てため息をつき、自分で腰を曲げて運び、南の部屋の老人をもう呼び止めなかった。許慎がついて行って一角を持ち上げると、袋の底には米糠と濡れた泥がついていた。金を払うだけで済むと思っていた家主の役目は、想像よりずっと重かった。
魏策が工房から催促に来たとき、ちょうど二人は袋を運んでいた。彼は戸口に立ち、許慎の袖が埃だらけなのを見て、任親方が、材が湿気を戻していないか、明後日は扉の軸を取り付けるかと聞いている、と伝えた。許慎は、すぐ行くと言って戻らせるつもりだったが、手元の米袋はまだ運びかけだった。まずきちんと置き、少年にしばらく待つよう言うしかなかった。魏策はそれ以上何も言わず、自分から軽いほうの袋を受け取った。運び終えても、その間の賃金は求めなかった。
阿穂はこの子が小さな櫛を削った少年だとわかった。仕事に身が入っていないと息子が言っていたのを思い出し、会ったらひと言言うつもりだったが、先に米を運ぶのを見ては口に出しにくかった。少年は、阿穂が心の中ですでに小さな裁きを済ませていたことなど知らず、行儀よくおばさんと呼び、差し出された水を両手で受け取った。爪の間には細かい木の粉が詰まっていた。
彼女は魏策に少し座っていくよう勧め、いくつか、家族は何人かと聞いた。魏策は十九で、妹がいると答えた。言ってすぐ許慎のほうを見た。兄弟子が聞きつけて、また小さな櫛のことでからかうかと思ったのだ。許慎は仕事を急ぐことばかり考えていて、笑いもせず、先に店へ戻って戸の図面の長い二辺をきちんと守れ、模様があるからといって先に鑿を入れるな、と言った。魏策は承知し、来たときよりもそっと椀を置いた。
屋根を直しても床はすぐには乾かなかった。杜茵は自分が使わなくなった古い竹の棚を貸し、まず衣類を床から上げるように言った。阿穂は裁縫道具の包みを一つ載せてみて、昔の家のかまどの裏から、なじみのある乾いた場所をまた一角借りたような気がした。娘さんに汁を一杯煮てやりたかったが、鍋には自分と許慎の分しかない。ためらっているうちに、杜茵が焼いた大根の細切りをひと握り持ってきて、一緒に温めて、別に火を起こさなくていいと言った。
仕事を終えた許慎が戻り、三人は大根を数本ずつ箸でつまんだ。いつもの汁より甘かった。阿穂は食べながら、ついまた息子と杜茵を見た。許慎はうつむいたまま碗の縁の太い根ひげを取り除き、顔を上げなかった。彼女は少しがっかりした。杜茵は食べ終えると先に立った。明日の朝早く莫影があの五枚を取りに来る、今夜はまだ開き口の始末が残っていると言い、碗も持ち帰って自分で洗った。
部屋に母子だけになると、阿穂はようやく、あまり人と話すのが好きではないのかと息子に尋ねた。許慎はきょとんとして、今夜はまだ話し足りなかったかと問い返した。彼女はとぼけるなと笑って叱ったが、彼は本当に疲れ、とぼけたという言葉の裏に何があるのか一つずつ尋ねる気にもなれなかった。残りの汁を飲み干し、明日布団を干す時は無理に一番高い所へ持ち上げるな、二、三日したら戻ると言った。
彼女はそれ以上聞かなかった。中庭からかすかに椀を打つ音が聞こえ、二十三日の夜に水の跡を隠したことを思い出した。厄介を一つ増やしたくなかっただけなのに、寝台や荷物を三日も動かすことになり、犬にまで濡れ衣を着せるところだった。息子が早起きして靴に気づかなければ、あの壁の冷たさは日に当てれば乾くものだと、本当にずっと思っていたかもしれない。そう思い、彼女は水の跡を隠していた古布を洗って窓辺に掛け、もう寝台の下には戻さなかった。
許慎は帰り際、直った窓の隅を一周手で確かめた。方桂娘は梯子を片づけ、彼がまだ安心できないのを見て、今度は自分で直したのでなくても、屋根職人を少しは信用しておやりと言った。彼は言葉の小さな棘を聞き取ったが、言い返さず、分かったとうなずいた。庭の門を出て初めて、一日中忙しくしていたのは母の部屋のことばかりだと気づいた。薬屋の戸の図案はまだ道具袋に巻いたままで、端には湿気に押されたしわが一つついていた。
店に戻ると、任泉はもう戸を半分閉めていて、明日は本当に腰を据えて木取りができるのかと聞いた。許慎はできると答え、材を抱えて入れるよう、半開きの戸をついでに押し広げた。母の部屋の壁のことをまた説明する気はなかったし、今日どの時点で自分の気が回らなかったかにも触れたくなかった。新しい扉の図面を広げ、しわに木の文鎮を載せた。この扉さえうまくできれば、目の前のこまごまとした気がかりは、一つずつ減っていくはずだと思った。
· この章 終 ·
本書はAIの支援を受けて独自に執筆した作品で、劉長卿の『逢雪宿芙蓉山主人』と当サイトの短篇『雪の夜、戸を開けて待つ』をもとに長篇化しました。人物、県城、経路、筋立てはいずれも唐代の趣を持つ架空の創作であり、原詩の翻訳や詩人の伝記ではありません。
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