古代中国風の手仕事と世情を描く長編
蓮の葉はまだ開かない
酷無極 · AI創作 · 4633 字 · 約 12 分
五月十七日、南浦で最初に聞いた音は、天秤棒で担がれてきた魚の音だった。担ぎ手が生きた魚を木桶にあけると、尾が水を打ち、しぶきが顧青の靴に飛んだ。荷を岸に上げたばかりで、何度も話に聞いた町をよく見る暇もなく、まず人に押されて一歩下がった。沈素は船着き場の端で柱につかまっていた。帽子の薄茶の花が風で内側に押されていた。二人がこのひとときのために六日もかけて来たとは、誰も思わなかった。
南浦の東の船着き場には川沿いに宿が何軒かあり、顧青が値を聞くと、船着き場に近いところは蘆渡より五割高かった。最初に目をつけた宿へ祖母を連れていった。部屋に窓はあったが、魚を荷下ろしする裏路地に向いていた。床板は湿り、夜は桶を洗った水が外を流れた。祖母は寝台の縁に座り、口では悪いと言わなかったものの、右脚を何度も動かして、落ち着いて伸ばせる位置を見つけられずにいた。
顧青は布団の巻きを下ろし、これでようやく二晩はぐっすり眠れると思い描き、少し湿っているだけだとまず自分を欺いた。荷沢のために来たと聞いて、宿の主人は首を振った。今年は春が寒く花はまだまばらで、東の水辺には葉ばかり、花を見に来る客は月末になってから行くものだと言った。顧青は荷紐にかけた手を止め、半開きの花なら一つか二つはあるでしょうと聞いた。主人は、こっちは蓮じゃないんだ、何里も先の水辺の花に代わってどう答えられる、と返した。
愛想のない言い方に、顧青は顔が熱くなった。川沿いへ出て車を尋ねると、車の持ち主は片道二十四里で、このところ土の道がまだ乾ききっていないから、今日急いで行っても向こうで泊まるしかないと言った。花が咲いたかと聞くと、三人が三通りのことを言った。とうに咲いたという人、あと十日かかるという人、南風次第という人。持ち帰ったのは花の便りではなく、船着き場の生臭さと埃をまとった体だった。
沈素は湿った布団をめくって風を通していた。顧青は腰掛けに座り、不意に、本当に花がないなら、一晩休んでから帰ったほうが、むなしく待たずに済むのではと言った。言い終えてすぐ後悔したが、ただちに言い直しはしなかった。このところ何より恐れていたのは花が咲いていないことだったのに、いざ本当に咲いていないとなると、心配を一つの確定した悪い結果にまとめ、慣れた場所へ急いで逃げ帰れるような気がした。
祖母は掛け布団の端を置き、誰のために節約するつもりなのかと尋ねた。顧青は二人のためだし、おばあちゃんがここでつらい思いをしないか心配だと答えた。沈素は寝台の縁をなで、ここは確かに居心地が悪い、まず宿を替えようと言った。待つことなら、自分は何日か待ってもいい。顧青に花一輪の借りがあって、今日中に納めてもらわなきゃならないわけじゃない。最後の言葉を口にしたとき、祖母も小鼻がわずかに動いた。花を見られなかった落胆をこらえているようだった。
二人はその日のうちに部屋を引き払い、荷を置き、火を借りた分を少し払って、宿の主人とは言い争わなかった。新しい宿は船着き場から半里の細い路地にあった。門の内にはひょろりとした柘榴の鉢植えがあり、花はまだ咲かず、枝には客が干した靴下が掛かっていた。宿を切り盛りする龐芸は四十前後で、干し大根を刻んでいた。腰掛けて足が床につく寝台はあるかと聞かれると、包丁の背で奥を指し、自分たちで見るように言った。
部屋は凝った造りではなく、窓の外に川が見えるわけでもなかった。古びた白壁が一枚あるだけだった。寝台の脚はがたつかず、灯明台は安定し、脇には腰をかけられる竹の椅子があった。沈素はまず椅子に座り、ゆっくり右脚を伸ばしてうなずいた。顧青は寝台の板に触れ、湿っていないことを確かめてから荷を下ろした。二人で一泊十文。湯の時刻は決まっていて、声をかければそのたびに火を起こすわけではないと、龐芸ははっきり言った。顧青はそれを聞いてかえって安心した。
龐芸は荷沢の近頃の水の様子を話した。縁戚がそこで野菜を売っていて、昨日来たときには蓮が一輪だけ顔を出していたものの、まだ一面には咲いていなかったという。客をことさら引き留めもせず、今度は入ってきた二人の男に声をかけた。泊まる者が代金を払うのであって、二人が遠くから来たからといって、花の見頃が保証されるわけではなかった。沈素は話を聞き終えると、自分で小袋から四十文を数え出し、まず四晩泊まって、様子を見てからまた相談しようと言った。八十文を一度にすべて出しはしなかった。
顧青が代わりに払おうとすると、祖母は財布を押さえた。「今回は私が選んだんだから。」そこで顧青は、四十文を別枠の八十文の小遣いからの出費にせず、二人の旅費に記した。銭が手から手へ渡ると、待つことはもう顧青一人の肩だけにかかってはいなかった。二階に上がり、帽子の脇から淡褐色の花を外し、風に乱れた一枚の花びらを整えた。船を下りたばかりのときより、手つきが少しゆったりしていた。
十八日の朝、顧青は目を覚まして、まだ船の上にいると思った。寝床は揺れず、耳には饅頭売りの呼び声をまねる子どもの声がした。龐芸の甥が朝飯を運ぶ手伝いをしていて、芝居の役者のように声を張り、三度もやると吹き出した。沈素は布団の中で聞きながら、目を細めて笑った。顧青が起きてまた花の咲き具合を聞きにいこうとすると、祖母は引き止め、あの子も四度目にはうまく言えるから、まず最後まで聞こうと言った。
その日の午前、二人は小路を歩いて過ごした。沈素は竹櫛の店を見たがり、櫛を買う代わりに、模様は地元の人が彫ったのかと尋ねた。櫛を彫る職人は細かく聞かれるのを嫌がり、初めは気のない返事だったが、彼女も手仕事をする人だと知ると、彫り損じた櫛を一本見せた。二本の線が曲がって重なったので、いっそ水の模様に変えたという。顧青はそばに立って、祖母が交わす世間話をいちいち自分が商いにつなげなければ、とは初めて思わなかった。
二人は阿春が言っていた米の餅を食べた。確かに皮が薄く、熱いうちは柔らかいのに、冷めるとすぐ硬くなった。沈素はどうしてもゆっくり食べると言って、最後のひと口はもう冷たく、硬いとこぼしながらも捨てられなかった。顧青が半分もらって代わりに噛むと、頬がだるくなった。二人は顔を見合わせて笑い、帰っても、阿春の言うおいしいもののためにこんな苦労をしたなんて教えまいと言った。持ち帰る餅はなかった。焼きたてのあのかすかな香ばしさだけを覚えておいた。
十九日には短い雨が降り、祖母の膝がまた痛んだ。顧青は一瞬、天気を選び違えた自分のせいだと思い、祖母が寝ているうちにもう一度花の様子を聞きに走ろうとした。出がけに部屋の隅の傘から水が滴っているのを見て、手に取るのをやめた。軒下に座って雨を見ると、割れた瓦一枚から水がまとまって落ち、ちょうどザクロの鉢の縁を打っていた。鉢に彫られた鳥が一羽、水に洗われて光っていた。
龐芸がそばに座って戸口の幕を縫い始めた。古布の縁はすっかり毛羽立っていた。沈素の帽子の花を見ると、自分で作ったのかと聞き、切り取った古い幕の端で粗布の花を二つ作れないかと言った。広間で客が食事を頼む木盆の脇に置き、どれが二階の泊まり客の分か見分けやすくしたいのだ。顧青が、粗布は絹ほど思いどおりにならないけれど、大まかな形なら作れると言うと、龐芸はいちばん丈夫な二切れを選んで渡し、顧青に材料を持ち出させなかった。
二輪が仕上がると、龐芸は一晩の宿代にできるから、泊まりを延ばすなら新たな一晩の分から引く、それ以上作ってもらうつもりはないと言った。沈素はそばで灰緑の糸を選び、顧青は祖母の簡素な蓮の型どおりに裁ったが、花芯は詰め込みすぎないように結わえた。花は香りもなく、本物でもなかったが、古い木の盆のそばではよく目立った。二階の客がさっそく見つけて自分の食事の盆だと分かり、龐芸は満足して、別の客の粥代を勘定しにいった。顧青は針入れをしまい、翌日、もう一晩の宿代を浮かすために作り続けることはなかった。
雨が上がると、沈素はもう寝ていようとはせず、顧青に一人で表通りを歩いておいでと言った。龐芸が下の階にいるし、二人そろって膝の番をすることはない、と。顧青は少しためらってから外に出た。花の見本も、生地を買うときの物差しも持たなかった。髪紐の露店まで来て、すぐに何かに換算しなくていい色をどう見ればいいのか、自分には分からないと気づいた。店主は淡い杏色の紐を手渡し、若い娘さんは明るい色をつけるといいと言った。彼女はまず値を見て、それから紐を見て、思わず口元をほころばせた。
彼女は三文で買った。今どうしても買わなくてはならない品というわけでもなかった。帰りは水辺に回り、暗い窓に姿を映して髪紐を整えた。雲津で花を作っていたときと同じ顔なのに、ずっとうつむきがちだった顎を誰かが少し持ち上げてくれたようにも見えた。しばらく立っていた。祖母が湯を待っているかもしれないと思い、足を踏み出しかけてまた止め、川風が紐の端を肩に吹き上げるに任せた。
宿へ戻ると、沈素は龐芸の甥が客の靴を別の階に届けてしまった話を聞いていた。半開きの戸から笑い声が漏れた。顧青はそれを聞いて、胸に覚えのある空しさを少し感じたが、中の誰かがまず気を揉んでいてほしいとはもう思わなかった。戸を押して入ると、祖母はひと目で新しい髪紐に気づき、まず色を褒め、それから結び目がきつすぎると言い、緩めるから頭を下げなさいと言った。顧青は言うことを聞かず、自分で結んだ結び目をそのままにしたくて、笑いながら顔を上げてよけた。紐の端が祖母の伸ばした手をかすめた。
二十日は晴れた。龐芸の縁者から伝言があり、荷沢の水の真ん中にきれいに咲いた花が何輪かある、明日か明後日も晴れれば見られるが、池じゅう真っ赤だとは思わないように、とのことだった。顧青は今度はすぐに車を雇いに行かず、先に部屋に入って祖母に膝の具合を聞いた。祖母は試しに立って戸口まで歩き、明日はもう一日休んで二十二日に行くと言った。その花が待っていてくれるか、二人にも分からなかった。顧青は戸枠を指でひとつ叩き、結局、分かったと答えた。
二十一日、二人は元の値段でもう一泊し、その夜の十文を二輪の布花で払い、追加は出さなかった。先の四十文はちょうど前の四泊分だった。残る一日、二人は川辺に座り、短い橋を行く人を眺めた。蓮根担ぎが橋の真ん中で荷を下ろし、こちら側の人に道を空けろと叫ばれても、半歩脇へずれてまた座り、笑い交じりの悪態を浴びた。沈素は見終えて、自分も蓮根を売るなら休まねばと言い、顧青は、橋の皆もあなたみたいにゆっくりにならなきゃいけないの、と聞いた。老人は答えなかったが、目は輝いていた。誰にも急かしようのない仲間を、ようやく見つけたようだった。
夕暮れ、顧青は明日使う水と軽い傘を戸口に置いた。箱から出した祖母の灰色の蓮は、船で二人が少し押し曲げてしまい、先が揃っていなかったが、祖母はそれでも持っていきたがった。顧青は帽子の後ろに留めてやり、数歩離れて眺めた。昔、紀さんが沈素の後ろ姿を見てやったときのように。曲がっていないかと聞かれ、少し傾いているけれど、傾いているのは帽子のほうだと答えた。沈素が帽子を直そうとすると、顧青は笑って、そのままで、少しくらい傾いていても誰だか分かるからと言った。
· この章 終 ·
本書はAIの支援による創作で、王安石《梅花》と当サイトの元の短編《春風は売らない》をもとに書き広げています。登場人物、商取引、地理、紀年はすべて架空で、詩人の伝記ではありません。木を守ること、絹の花に香りがないこと、祖母と孫が蓮を眺めることという、原作の中核となる選択は残しています。
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