酷無極文庫 詩詞から生まれた · オリジナル小説
詩詞の中の物語
一行の詩を、一つの物語として読む。
渡し場の灯、出されなかった手紙、そして名もない人々の身に降り注ぐ月の光。
お茶一杯の時間を自分に贈り、人の世を綴る一巻を開いてみましょう。
本棚を見て回る
118 作品が、静かに読まれるのを待っています
作品集
書架の蔵書 118
一冊を選び、物語がゆっくりと広がるのを楽しんでください。
垣根の灯、遠くへ寄せて
川辺で書写をして暮らす沈衡は、帰郷の日を何度も先延ばしにしていた。秋の夜、垣根のそばで二人の子どもが紙の灯籠を破り、彼の腕を頼ってくる。筆を止めて灯籠を直せば、明朝の原稿が間に合わず、受け取る賃金は減ってしまう。灯籠が再びともったとき、彼もまた、ずっと出す勇気のなかった家族への手紙を書き終えていた。
この本を開く木槿の花、軍衣を照らす
辺境から戻った方緹は、婚礼の宴の費用を節約して耕牛を買い、馮穂と田を借りて暮らすつもりだった。花嫁を迎えに行く際、旧友たちは彼に戦袍を着せ、赤い傘を差しかけ、道々「将軍」と呼び続けた。だが狭い橋に差しかかると、あの従順な牛が四本の脚を踏ん張り、動かなくなった。銅鑼の音がますます急かすなか、古傷のある右脚が先に力を失う。槿の垣根の向こうから花嫁が裾を持ち上げて出てきた。彼がいちばん恐れていた無様な姿は、ことごとく彼女の目の前にさらされた。
この本を開く湖の雨、初めての出会い
邱おばさんは、湖の上での見合いがいちばん手軽だと言い、食堂の主人・沈照の算盤を扇に持ち替えさせ、船を扱う羅汀には淑女らしい衣装を着せた。二人とも礼を失したくないが、琴や碁の話になっても、互いに少々たしなむと答えるしかない。湖面にふと細かな波が立ち、雨が遊覧船を追ってきた。羅汀は船綱を見つめ、沈照の弁当箱には、自分で煮たと言い出せない蓮の実の甘いスープが一壺隠れていた。
この本を開く物語と詩は、互いの源となる。詩の目録でインスピレーションを探す